
84.参院選公開討論会で何を問うかを私論することについて。
「国会大学参議院部」の入学試験が始まる。「国会大学」のスポンサーである国民が、「国会大学」の受験生である候補(予定)者を試験する。国民としては「国会大学」の趣旨にふさわしい人を「入学」させたいものである。
今まで「国会大学」の試験は、「受験生」が提出する政策やパフォーマンスを国民が採点する形であったが、最近は公開討論会という「面接・集団討論試験」ができるようになった。国民の方から試験問題を受験生に出せるようになったという点で、より「国会大学」に国民の意思が反映されるはずである。
では、国民は「受験生」に何を問うか。それは国民の皆様が最終的に考えることであるが、私なら、大学生に向かう企業の面接官のように「志望動機」「今までの実績」「これからやりたいこと」「国会・政治に対する知識」を問う。
特に「今までの実績」は現職に、「これからやりたいこと」は新人にしつこく問いたい。特に「どんな方法でやったか(やるか)」が大事である。ただ「やりました、やりたいです」では信用できない。国会議員としてどんな方法でそれが可能なのか、が知りたい。たとえ国会の外でも、国会議員として実績ややりたいことがあれば話してほしい。まともに答えられなかったり、法律に触れ道理に合わない方法を持ち出したりした候補(予定)者には投票しない。
85.国会議員の仕事の多くは秘書が代行できるかも知れないことについて。
「国会大学」の学生である国会議員の先生方と普通の大学の学生とで、特に異なる点は、国会議員には従順で有能な秘書がいるというところではないだろうか。実際、国会議事堂で国会議員のやることは、大体秘書が代わりにやることができる。法案・質問主意書・委員会本会議質問は秘書が代わりに書くことができるし、政党の部会も秘書に代出席させることができる。議員会館での来客の応対は、最初に秘書がやって大事ではない客は門前払いさせる。となると、国会議員は採決の時だけ国会議事堂にいればいいということになる。
最も、選挙の時には、候補(予定)者本人が何人の有権者と接したかで勝負が決まる。高度の政治的判断を行うために、国会議員自身の能力が必要になってくる。もっともその国会議員が重要な地位役職に就いている場合だが。
公開討論会では、候補(予定)者本人が出てくる。彼らは演説などで数字を交えて論理的に話すことのできる強者である。しかし、事前に秘書や政党から「我が党の政策」みたいなものをレクチャーしてもらって、頭に叩き込んでいる受験生みたいなものである。公開討論会で皆が普通に知っていたり関心を持っていたりする質問をしても、あっさりと官僚的に答えられてしまう。候補(予定)者の本当の姿は、意表を突いた質問を出さないと得られない。
86.公開討論会の活性化のために会場質問を受け付けることについて。
公開討論会の前身として、随分昔に「立会演説会」というものがあったそうだ。しかし、動員されてきた各陣営の聴衆のヤジがうるさく、収拾がつかないので政府が廃止してしまったようである。現在の公開討論会の主催者であるリンカーン・フォーラムは、立会演説会の失敗を繰り返さないために、会場の聴衆からの発言を極力封じる司会進行を行っている。まあ、妥当な判断である。
現在の公開討論会は「立候補(予定)者」の本当の姿を伝える」ことを目的としている。そして、公開討論会が行われ始めた頃は、公開討論会が行われた選挙区の投票率が急上昇し、現職候補が新人候補に敗れてしまうといった副作用が生じた。「公開討論会が政治を変える」と、随分クローズアップされた。
しかし、最近の公開討論会にはひところの神通力がなくなった。今年の都議選ではほとんど全域で公開討論会が行われたはずだが、投票率は2%上昇のみ、軒並み現職が勝利した。現職候補(予定)者が良い政治家だったというのもあろうが、候補(予定)者が公開討論会対策をしっかりやっており、主催者の出してくる単純な質問にはボロを出さなくなったということがあると思う。
厳しい時間制限を付けて、会場質問を受け付けてくれれば、もう一回公開討論会が光りはじめると思う。あつものに懲りてなますを吹かないで欲しい。
87.ローカル御免、神奈川選挙区公開討論会について。
7月10日に行われた参議院選挙神奈川選挙区公開討論会を傍聴した。もとより私は主催者の一人からこの公開討論会の宣伝を頼まれたのであった。というわけで、公開討論会に来てくれた皆様並びに公開討論会を応援して下さった皆様、誠にどうもありがとうございました。ご満足いただけたでしょうか。
少なくても私自身は満足していない。主催者側が、せっかく参加している会場の人々に対して、発言・質問・録音・撮影を禁止し、候補(予定)者の発言の合間の拍手を強要したのである。立会演説会の前例を踏まえたとしても、あまりにも会場の人々を信用せず、形にはめようとする態度は強く不満である。
やはり会場質問は必須である。候補(予定)者の話を聞いてから質問したいことが山ほどあるのだ。そもそも事前に募集されていた質問は行われていたのだろうか。それに対するアナウンスがなかった。コーディネーターの構想日本の丹治幹雄さんが次々と口にしていたのが事前に募集された質問だったのか。
だからこそ、候補(予定)者が他の候補(予定)者の話を聞いた上で質問できるという状況では、緊張感があってよかった。そして、平凡な質問を並べてみても、それに答える候補(予定)者に差が出てくるのがわかった。でも、背負っている政党の違いと、おしゃべりの上手さがわかった程度であったが。
88.参院選直前、作者読者の主要政党の評価について。その1公明党。
朝日新聞と共産党を批判できても、読売新聞と公明党をまともに批判できる報道は少ない。特異なボスに対する感情的な批判に流されてしまうからだ。
その公明党をあえて評価するのは、やはり難しい。でも、「何をやりたくて団結しているのだかいまいちわからない」という評価をここではしておく。
「国民」をよく知っていて、国民の意図を代表して国会に出ていることがよくわかる。公明党議員の本会議委員会質問は国民の声やデータに基づく建設的な質問が目立つ。公明党の政策は国民を幸せにする夢のある政策が多い。
しかし、公明党は不可解である。委員会質問では政府に疑問を投げかけ注文を付ける事もある一方、公開討論などでは自民党以上に野党を批判することもある。与党か野党かはっきりせず、両者のいいとこどりをしている印象である。
政党なのに、単独政権を志向しないというのも不思議である。夢のある政策を持っているのに、その政策を全面的に実現することを望まないということになる。キャスティングヴォート政党に徹し、自党の政策を一部づつ実現させていく方法は、現実的ではあるが中途半端で、逆に国民に夢を与えない。
今回も、異なる委員会で立派な質問を重ねた若い国会議員をかなり引退させる。政党が国会議員の首根っこを握っているという悪い印象を与えている。
89.参院選直前、作者読者の主要政党の評価について。その2共産党。
共産党ほど国会活動を熱心にやっている政党は日本にない。請願紹介数はずば抜けて多いし、法案や質問主意書もよく提出する。何よりも、どんな全員一致の法律案でも質問は欠かさず、大体の法案にはしっかり反対の討論を行う。
共産党の議員は専門家が多い。彼らはひとつの委員会に長く所属し、その委員会関係のあらゆる分野の法律案に対し質問することができる。だから、共産党にとって一人でも現職議員が欠けると共産党全体がダメージを受ける。
公明党と共に国民の声やデータを豊富に国会に持ち込み、国民に恩恵を与える政策を多く出す政党である。国会中継を見ていると「なぜ日本は公明党と共産党との2大政党制にならないのだろう」とふと思う。まあ、恩恵の代わりに国民の支払う対価のことを無視していることが明白だからであろうか。
共産党議員に目立つのは、ある種の行儀の悪さである。例えば共産党議員の用いている資料の出所を問うても答えない。理事会限りという約束で出した文書を勝手に委員会で公開したのをとがめても答えないで、結局あなたが悪いと開き直る。攻撃のみで守備がなってないようなもので、一人前ではない。
国会では一生懸命何をやっても反故にされる共産党。それでもなお戦い、今回の参院選でも単独過半数分の立候補者を出す。その粘り頑張りはすごい。
90.参院選直前、作者読者の主要政党の評価について。その3自民党。
参議院選挙で、自民党の候補者が演説しているのを聴くと、国会議事堂に仕事を持つ私をしては、正直うんざりする。あなたの公約や政策は、どこでどうやって実現するのか、多くの人々の前で言えますか、と問うてみたいものだ。
自民党の政治手法のおかげで、多くの人々の耳目に触れる議事堂での審議は形だけのものになってしまい、野党がいくら反対しても結局は物言わぬ与党が多数決で押し切ってしまうという無理が展開されている。自民党の政治手法は党本部か各省庁で事前秘密裡に懸案を片づけるというものである。
まあ、自民党と官僚との協力と反目との連続で日本は敗戦国から豊かで平和な経済大国になったし、多くの金と票を自民党につぎ込めた人々は民主主義を謳歌することができるようになった。自民党の日本に対する功績は大きいし、今までの民主主義はこれで良かった。しかし現在、時代の曲がり角、民主主義の成熟を迎えている。自民党は日本政治に責任を持つ政党として、多くの人々の見守る議事堂で官僚や野党を相手に政策を議論することが期待されている。
皆が連呼している「小泉改革」も、議事堂の外で勝手に進んでいる。現在の「小泉改革」は自民党幹部と内閣と諮問機関と各省庁との折衝で行われるもので、普通の自民党参議院議員は他の法案と共に賛成するだけの役割である。
91.参院選直前、作者読者の主要政党の評価について。その4民主党。
民主党は現在58議席を持つ参議院第2党で、23議席の共産党の2倍近くの議席を持つ飛び抜けた野党第1党である。しかし、国会内では与党の多数決でほとんど決められてしまうので、野党でいくら議席を持っていても、会議での質問時間が長くなるだけで大した違いがないというのが現状である。
ときには2時間位もある民主党の質問時間をどう使うかに民主党の力量が窺える。延々とまとまりのない演説をやって、要約して答えると「質問に答えてない」と怒り出し、「時間が足りない」と文句を言う要領の悪い人がいるかと思えば、短い質問を次々と浴びせて着実に自分に有利で有効な答弁を引き出す要領のいい人も確実にいる。中には理事会でのがんばりと良い質問のおかげで法案を修正させた人もいるし、中には答弁のまずさを追求して、省庁間の覚え書きをその場で破棄させたすごい民主党の質問者が環境委員会にいる。
今度の参議院選挙で民主党が議席を微増させても、与党が過半数割れしない限りほとんど実効はない。結局影の薄い野党になるのか、あるいは議席を半減させても与党入りし、実を取る手に出るのか。国会内で活躍している民主党議員も一部に限られ、1回も発言しない「有閑議員」もいる。このままでは民主党は、中途半端なまま旧式の政党に変わり果ててしまいそうである。
92.参議院選挙後の自民党に期待することについて。
小泉総理の知友で政治家としても評論家としても著名なT氏と、親小泉を標榜して大量得票が見込まれる参院選立候補者M氏に質問する機会に恵まれ、両氏に、「親小泉を標榜して自民党に票を入れさせ、自民党内の隠れ反小泉の抵抗勢力に手を貸すのはいかがなものか」と質問した。答えは「抵抗勢力といわれている人々が親小泉の票で当選したら、相対的に今まで彼らを支えてきた組織票の貢献比率が減って、組織票の担い手からの多岐にわたる要求からある程度自由になる。そして彼らは、新しい支持者である親小泉票をつなぎ止めるために、本当に小泉氏を助けることになるだろう」というものだった。
自民党は今回の参院選で有利な戦いを進めている。しかし、人々の期待している「小泉改革」の具体策は選挙後に出るらしいし、自民党としての選挙公約では小泉総理の標榜している政策をズレが生じているところがある。つまり、何をやるかわからないし、わかったとしても実際できるかわからないという状況にある。「痛み」を伴う改革とも噂されるだけに、私には不安が生じる。
「抵抗勢力」とレッテルを張られている人々も、親小泉派も、長所短所それぞれ多くあり、どちらかが絶対的に正しいわけではない。自民党には、両方の立場を切磋琢磨させ、よりよい政策を提出してくれることを期待したい。