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75.友部達夫参議院議員の議員地位について。
 友部達夫参議院議員は、国会内では「友部先生」とか「ともべっち」とか、様々な呼ばれ方をされている。彼は参議院議員252人のひとりとして様々な権利を持つ。今国会では無所属ながら注目の財政金融委員会に所属している。
 まあ、友部議員については、皆様ご存じだと思う。「居座り4年4ヶ月、歳費など1億5400万円受領(毎日新聞)」にして、委員会発言回数は3回のみ。1997年1月にオレンジ共済組合事件で逮捕されて拘留されて以来、議員活動を全く行わないで今日の改選時期を迎えた。複雑な気持ちである。
 友部議員が度重なる辞職勧告に応じず、国会議員として任期を終えることを批判する意見が、世論の大勢を占めていると思う。しかし、他人が国会議員の職を剥奪できるのなら、政府が政府姿勢に反対する国会議員の職を剥奪しないと世論は信じるだろうか。憲法に記されている国会議員の地位保障は、国会議員を政府の干渉から守るために存在する。人々は憲法の意味をもっと知る必要があり、民主主義体制では不的確な議員を選んだ方に責任があることを人々は知る必要がある。友部議員のケースは人々にとって教訓にすべきものである。
 友部議員分の国会関係文書が文書倉庫に山のように積み上げられている。もし彼が無罪になったときに渡すためであるが、どうやら無用になるようだ。


76.田中外相の対米防衛政策批判について。
 田中真紀子外相のアメリカNMD構想批判に関わる一連の外交問題であるが、私は、「田中発言は日本外交の本音の部分の基本路線だったはず」だと思う。
 英語には「Do not put all your eggs in one basket(卵を全部ひとつのカゴに入れるな)」ということわざがある。カゴを落としたときに全てを失わないように、財産は分散せよという意味である。日本の外交を全てアメリカに託すのは良くない。他の国にも分散してリスクを回避するのが普通である。
 日米関係が日本にとって非常に重要であることは当然だが、アメリカのNMD構想が日本のリスクになるのなら、日本はリスクを回避する外交をアメリカ以外の国に対して行うのは当然だと思う。ただし、礼儀上、その手の外交はアメリカ及び報道には、建前だけでも「秘密」という形で行うべきであった。
 報道や政治家は「日米関係は絶対」と思っているのかも知れないが、日本外交の当事者である外務省はそんな単純な頭は持っていないはずである。田中外相の見解は、従来機密扱いだったはずの外務省の従来の見解だと私は思う。
 アメリカだって日本が自国に絶対服従するとは思っていないだろうから、今回の田中発言は折り込み済みであろう。しかし、日本は礼儀を失して公然とアメリカを批判したので、アメリカは日本の非礼をとがめることが可能になった。


77.「国会大学」の大学紹介について。
 国会というところは、大学に似ている。卒業するために単位を取る必要はないが、何年かごとに入学試験を受け直さなければいけない大学である。
 国会議員はよく「先生」と呼ばれているが、「国会大学」においては学生の役割である。「国会大学の先生」は、答弁に立つ大臣や政府参考人たちである。
 本会議が一般教養課程の授業で、委員会が専門課程のゼミである。委員会では、内閣提出法案と呼ばれる課題を研究する。質問者が研究成果を発表し、「国会大学の先生」が講評を加える。ゼミ論であるところの国会議員提出法案の提出は任意であるが、なかなか「国会大学の先生」のお眼鏡にかなわない。
 「国会大学の学生」は、朝はサークルであるところの各政党の部会で自主的に勉強。午前は委員会、昼には本会議、午後は委員会、その後は受験勉強、と多忙である。もっとも、彼らの多くは受験勉強やサークルの運営に精を出して、一般教養であるところの本会議にはなかなか手が回らないことが多い。
 今までは「国会大学の先生」の作ったカリキュラムが「国会大学の学生」の多数決で決められて運営されていたのだが、今度選ばれた「国会大学」の学生会長や学生会の一部は、「国会大学の学生による自治」を行おうとしている。「国会大学の先生」に味方する学生、敵対する学生の動きが見物である。


78.法案にもっと興味を持ってほしいということについて。
 国会議事堂は本来、法案を審議して法律を作る場所である。「永田町」は政局ショーの舞台というより、本来は立法のための施設が集まった場所である。
 だから議事堂内では法案が中心となって動いている。私は、法案は政治が凝縮されたものだと思うし、民主主義政治体制下では、人々全員が法案についてよく知っている必要があるのだと思う。ところが実際は、政治に興味がある人々は増えても法案に興味がある人々は未だ少ないと思う。しかも、現行の法律はあまりにも膨大かつ複雑であり、人々全員が理解することを拒否している。
 私は皆様に、何とか法案や法律に興味を持って、これらを理解して欲しいと思っている。幸い現在は法案情報がインターネットで公開されているので、大いに利用していただきたい。会議録については「国会会議録検索システム」がある。発言者名やキーワードからも検索できる。法案の内容の検索については衆議院のホームページが便利である。興味のある分野、政治にどうにかしてほしい分野から検索してみると、難解だけれども何とか理解は進むであろう。
 同日に出すこの次の政治コラムでは、今国会に提出されている道路交通法を改正する法律案について解説を試みた。法律が制定するまでの流れや、国会議員が法案にどう対処するのかとかが少しわかったので、有意義だったと思う。


79.道路交通法改正案の罰則強化部分に関する部分について。
 民主党は今年始めに一般有権者からインターネットを通じて政策を募集していた。集まった約890件の政策から、「危険な運転により人を死傷させる行為の処罰に関する法律案」(衆法第14号)が民主党の議員立法として今国会に提出された。この法案は、飲酒運転・過労運転・無免許運転などの危険な運転により人を死傷させた者に10年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金に処すというものである。従来の道路交通法では、この手の犯罪には最高3年以下の懲役または20万円以下の罰金が科されていた。
 今国会では、内閣提出法案としてでも道路交通法改正案が提出されており(閣法50号)、先程の犯罪に対する刑罰を最大5年以下の懲役または50万円以下の罰金と厳罰化することも盛り込まれていた。内閣法案と民主党法案は共に衆議院の内閣委員会に付託された。内閣委員会での審議の結果、内閣法案は可決、民主党法案は否決となり、衆議院本会議でも同じ結果となった。内閣法案のみ参議院に送付され、6月13日に参議院本会議で可決・成立した。
 衆議院内閣委員会では、民主党法案には自民党・共産党の各議員から疑問点が出され、民主党の法案提出者(議員)が答弁した。内閣法案の罰則強化部分には各党の委員の質問が集中し、国家公安対策委員長や警察庁幹部が答弁した。


80.今国会最終盤の本会議について。
 1月31日から始まった第151回国会(通常国会)も、6月29日で会期末である。今国会に提出された法案は200本近くもあるが、現時点で3分の1くらいしか法律になっていない。予算と、予算関連法案をようやく成立させて、他の法案は重要法案でさえも時間切れで手が回らないといった状態である。今国会は公職選挙法改正や森内閣閣僚失政による与野党抗争、あるいは自民党総裁選挙があって委員会が開かれなかった期間が多かったので、今国会会期末近くの今頃は法案を成立させるために、ものすごい過密な日程が組まれる。
 法案が成立するためには本会議での議決が必要である。会期末近くの本会議は一気に7本前後の法案を議決成立させてしまう。議員は、自分の所属する委員会以外の、よく内容がわからないであろう法案の要旨や審議状況を担当委員会の委員長から聴取してから何とか議決する。土壇場に審議される重要法案の趣旨説明や質疑も間に入る。答弁する方は小泉首相でさえも原稿を棒読みする必要に迫られる。もっとも今年は参議院選挙があるために本会議の出席率は良くない。参議院本会議では252人定員中180人前後だったこともある。
 こんな本会議の様子を国民に公開したらまた政治不信が起こりそうだ。いくら何でも立法制度を何とかする必要があるのではないかと思わざるを得ない。


81.本格的な議員立法であるDV防止法について。
 「共生社会に関する調査会」とは、高齢者と若者、男性と女性、健常者と障害者などの共生のための的確な対応を目指すために、1999年に参議院に設立された。その後、男女共生社会の構築に向けて、「女性に対する暴力」をテーマにして調査を重ねた。その成果が、今国会に提出され、成立した法案「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(参法16号)」である。
 別名DV(domestic violence 家庭内暴力)防止法といわれるこの法案の成立経緯は、この法案作りに尽力された小宮山洋子議員や福島瑞穂議員のメールマガジンに詳しく載っている。配偶者暴力相談支援センターの設立、被害者の保護、加害者への強制処置や罰則、3年後の見直しなど、本格的な要素を備えた法律が、議員が中心となって作られたということは画期的なことである。
 3年間かけて作られたこの法律は、今国会で審議・全員賛成により可決され、今国会で成立した予算関連法以外の希有な法律となった。共生社会に関する調査会の超党派の女性議員が質疑に対して答弁し、全く危なげなかった。
 30回にわたる共生社会に関する調査会の審議の中で、法律の細部を詰めるのにいろいろ問題が出てきて、今回の法案には盛り込まれなかった部分があり、3年後の見直し時期にはその部分も解決される見込みであるという。


82.今国会会期末、参院選1ヶ月前の国会状況について。
 都議会議員選挙が終わり、参議院選挙が1ヶ月後に控え、今国会は6月29日に終わる。6月第5週の国会は色々ありそうで、忙しくなりそうだ。
 委員会は、何とか法案を遠そうと一生懸命やるか、諦めて何もやらないかのどちらかのパターンに分かれる。今頃大もめにもめている衆議院外務委員会は会期末には特異な現象である。批准されていない条約がまだあるのだが、そっちのほうは諦めて、外相と委員会の泥沼対決を今週いっぱいやりそうである。
 本会議で今週だけで15本くらい法案が成立する見込みである。与党提出の衆議院議員法案や予算関連法案ではない内閣提出法案や条約が審議される。
 本会議は総議員の3分の1以上の出席がなければ開かれない。参議院選挙直前なので、野党が本会議をボイコットすると何とか成立するはずの法案が成立せずに、国会事務局は序の口、各省庁や各関係者がパニックに陥る。法案不成立は与党の責任になるので、与党執行部はなんとか総議員の3分の1以上を本会議に送り込むように、地方で選挙運動をやっている議員を国会に引っ張ってくる。だから与党議員の本会議出席状況は思ったよりも良いのである。もっとも、野党議員もそんな無責任なことはしないである程度本会議に出席しているし、与党議員でも選挙で党の充分な支援を受けない議員は欠席している。


83.国会議員の仕事について回り道をしながら考えることについて。
 いよいよ参議院選挙で、我々が議員を選ぶ時がやってきた。国会議事堂内に仕事を持つ私が、皆様の議員選びの手助けになることができるだろうか。
 というのは、私が考える国会議員とは「国民を幸せにするために国のできる範囲内で法律を作る人々」なのだが、普通国会議員とは「自分たちを幸せにする人々」だと思うので、「国会議員」に対する考え方が違ってくるのである。
 私の考える「良い国会議員」とは、国民の意見を充分吸い上げて、その結果を反映させた良質な請願書や質問趣意書や法案を作り、様々な委員会に出席して積極的に発言し、大臣や官僚と実のある議論をして国民を幸せにする法律をたくさん作り上げる、という議員である。正直言って、理想的すぎる。
 実際は、野党議員はほとんど法案や請願が通らないし、与党議員はほとんど官僚の作った法律を委員会で多数決で通すために動員された物言えぬ人たちである。そして与党議員はただの委員会の飾りではなく、政党の部会では官僚や同僚議員と法案を巡って討論し、地元や職域団体の会合に出て人々の要望を聞いているのである。彼らの活動ぶりを国会内から文句を言えないのである。
 そこで、「自分たちを幸せにする」国会議員像が出てくるわけだが、これからは「どんな手段で自分たちを幸せにするか」について、考えてみたい。


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