173.宝島社の「勇み足」政治広告について。
出版社の「宝島社」が、7月16日の各紙朝刊に「国会議事堂は、解体」と題する2面全面広告を行った。広告掲載料は数百万ではなかろうか。宝島社も思い切ったことをしたものである。同社は昨年春にも、「20世紀に掃除し残したものはありませんか。7月29日は、遊びに行かないで参院選に行こう」という広告を打った。
宝島社の政治改革の志はよしとするが、過去に国会議事堂で勤務していた私にとって、残念ながら国会議事堂解体はほとんど政治改革にならないと思う。国会審議を青空の下で行うことは非常に無理があり、国会議員や国会職員などの人権を無視したものだと思う。
「政治の諸悪の根源は国会議事堂の密室にあり」ではない。正直、議事堂は会議室の集まりで、そこで行われている本会議や委員会は形式的なものが多いと言わざるを得ない。「密室政治」の「密室」とは、官邸とか議員会館とかホテルとか料理屋とかであろう。まあ、国対委員長会議や議院運営委員会理事会などは議事堂で行われている、いわゆる「密室政治」に近いものなのかもしれないが。
「国会議員は雨風と国民の野次に打たれるべきだ」とは、冗談でしか許されない。野次の代わりに銃弾が飛んできたらどうするのか。体の弱い議員は国民代表になれないのか。こういう議員を馬鹿にする精神が、議員が報道不信・国民不信になるのである。
174.国家公務員になれなくて悔しいことについて。
1998年、2000〜2002年の4年間、私は国家公務員2種採用試験の最終合格を逃して、夏を終わらせてきた。そして29歳の私は今年で国家2種の受験機会をも逃してしまったのであった。
国家2種試験は、1次の筆記試験と、2次の論文・面接試験とがある。試験を行うのは、「人事院」という役所である。2次に合格した人は最終合格者で、採用名簿に載せられる。採用名簿に載せられた最終合格者は、職を選ばなければほとんど全ての人々がどこかの省庁に採用される。従って国家2種試験は、とにかく国家公務員になりたい人々に最適な機会である。1次試験をクリアすれば、2次の論文・面接試験は余程のことがなければ落ちないとされている。
その国家2種試験に、3年連続を含む4回、2次試験で落ちている私は、一体どんな人間なんだろう。落ちた理由は教えてくれないので、見当がつかない。ただ1回でも最終合格させてくれれば就職確定なのであるが、人事院は私の就職を頑なに拒んでいるようだ。
私は、人事院に就職したかった。公務員制度改革や公務員の福利厚生拡大といった仕事をやりたかった。それなのに、当の人事院によってそれがふいになったので、悔しさはつのるばかりである。
今現在、どこに就職するのにも面接試験はある。やりたかった国家公務員ができない私を、誰が採用するのだろうか。
175.民主党代表選の低投票率について。
民主党代表選で一番の驚きは、党員・サポーター票の投票率が、51.3%と非常に低かったことである。直前まで、70%はいくと報道されていた。投票権を獲得するために払った1000円を、半分近くの人々が「掛け捨て」にすることを選択したのである。
その理由として、「投票用紙に住所氏名を書く必要がある」ことがあげられるだろう。我々が日本近代史で習った、普通選挙以前の制限選挙における記名投票を思いだす。記名投票は、体制維持派に非常に有利である。鳩山由紀夫現代表の辛勝は、党員・サポーター票が予想に反して鳩山氏を優位にしたことによりもたらされた。
体勢革新派に住所氏名を明かして投票し、体制維持派が勝利した場合、自分は迫害される。体勢革新派に投票しようとして投票権を獲得した人々は、そう考えて泣く泣く棄権したのだろう。
実際は、党関係者が住所氏名欄を見ることはなかった、とされる(読売新聞朝刊9月23日)。しかし、個人が巨大組織を全面的に信用することは危険だ、ということは、もはや常識であろう。
投票率ひとつをとっても、今回の民主党代表選は問題だらけであった。人々にとっては、いざとなったら自民党と替わる政権奪取可能な野党がこのていたらくだと、非常に困る。「人々のために」動くはずの政治家は、選挙となると、無力になってしまいがちである。
176.民主党代表選の投票率のご指摘訂正について。
前回のコラムを読んでくださったかたから、「小泉首相が誕生したときの自民党総裁選の党員投票率の方が、今回の民主党代表選の党員・サポーター投票率より低い。扇動しないでほしい」という趣旨のメールをいただいた。私の調査不足が不備を招いたのであった。
小泉首相が誕生した2001年4月の自民党総裁選の党員投票率は各都道府県でばらばらである。最多は京都府81.5%、最少は東京都36.2%であった。党員投票を行っていない県があるので、全国の党員投票率は出ない。今回の民主党代表選の党員・サポーター投票率51.2%を下回ったところは、北海道・東京・神奈川・愛知の4都道県に過ぎない(以上、読売新聞2001年4月24日朝刊)。ちなみに、1999年9月の小渕・加藤・山崎3氏の争いの自民党総裁選の全国の党員投票率は、49.3%であった。
「直前の投票率予想は70%」という私の記述は、神奈川新聞9月22日による。「一部マスコミの直前予想は35%だった」という指摘をいただいたが、ソースの開示は困難そうであった。
ミスを訂正。今回の民主党代表選を棄権した人々は、全員「1000円を無駄にした」わけではなく、元からの党員は代表選に関して特にお金を払わなかった。投票率が落ちた原因は「21日の締め切り直前に投函された票が間に合わなかった」というのもあった。