
130.年末年始の作者読者の状況について。
年末年始の休みはありがたい。今回私は12月29日から1月6日まで休みをいただいた。喪中ということで初詣も年賀状もなく、部屋掃除とお墓参りと箱根駅伝沿道観戦をやった以外は、ひねもす寝てたかテレビを見ていたかであった。その休みももう終わる。
1月はここからが非常に長く感じる。仕事をしていて、まだ1月なの、といった感じである。幸い明日から1週間働けば連休なのであるが、今年度は早まって1月21日から通常国会が始まる。
年末年始に政治のことなんか考える気分になかった。晴れ着姿の小泉首相も場違いに見えた。新聞の元日特集も読まず、もっぱらテレビ番組表が重宝された。もっとも今は一日中テレビを見られず、疲れて寝てしまう。箱根駅伝も10区ゴールシーンを見過ごした。
昼間は寝ていて、夜は深夜放送なんかを見て、よる2時か3時になると布団に入っても眠れない。その時は、「世の中の片隅から」に何を書こうか、結構悩んでいた。正月気分なのでデータが無くて、哲学的自分の世界を書いても皆様が面白くないし、政治家みたいに年初の誓いを発表しても皆様興味ないだろうし、結局良い案が思いつかないままに今現在、日記風コラムを書いたりなんかしている。
いずれ不審船事件や有事法制や不況や雇用対策や予算などで政治が盛り上がるときが来るので、今日はこんな感じで書いている。
131.モノが安くなったもうひとつの感想について。
服やファーストフードや電気機器などが安くなっているおかげで、フリーター作者読者は助かっている。これらのモノを安くするために努力している人々に感謝である。モノを安くする過程でリストラされた人々がかわいそうだ。フリーターを喜ばせるために失業して、次の就職先をフリーターと取り合わなければならないのだから。
実は、普通の人々は、あまりモノが安くなったと思っていないのかもしれない。それは、給料が安くなり、税金や保険料や公共料金が高くなっているからだ。政府に多く取られているというのは心象が悪い。おまけにいつ無収入になるかわからない。収入がなくなったら、どんなにモノが安くなっても買えないという恐怖がある。
私は税金を払っていないフリーターだから、モノの価値が下がる、いわゆる「デフレ」の恩恵を受けている数少ない一人である。
政治に興味をもっていると、こんな自分に情けなくなる。労働が思いっきりできる健康状態なら、すぐにでも力仕事に従事したいのであるが、しばらくは頭を使って上手に生きていくしかない。
「デフレ阻止」という議論がある。私としては、モノの値段が上がってもいいから、雇用と生活に必要な収入は政府が保証してほしいと思う。この保証があれば、よしんば消費税が大幅アップしても構わない。収入があるという安心は何物にも代えがたいと思う。
132.消費税と保険料とを比較することについて。
前の文章で、「政府に多く取られているというのは心象が悪い」と書いて、「雇用と生活に必要な収入は政府が保証してほしいと思う。この保証があれば、よしんば消費税が大幅アップしても構わない」と書いている。これでは読者の皆様にはわけがわからなくなってしまうので、私の考え方を述べる必要があるだろう。
「保険料を安くすること」が、心象を悪くせず消費税を多く払うために必要なことだと私は思う。私も若年世代なので、保険料と今の老人層に対する不公平感や嫉妬心はなかなか払拭しがたい。
本当は医療費の自己負担を増やしてでも保険料を下げて、世代間の保険料格差を何とかしてほしいとさえ思っている。しかし、私は保険料を払わぬフリーターで、1ヶ月に2回通院している身分である。政治に対し文章を書くときはこういうときがつらい。
消費税を上げて医療費の自己負担を増やす代わりに、政府は保険料をゼロに近づける政策はとれないだろうか。国会・国民対策を考えると、保険料を上げるのはたやすく、税を上げるのは難しいので、この政策を行うにはかなりの政治力が必要になるだろう。
雇用と収入が政府から保証されるとなると、一人あたりの収入は下がり、所得税の税収が減る。しかし、消費税の税収は、保険料を下げて国民の心象を良くすれば、確実に増えるはずである。
133.平成14年通常国会開会前のあれこれについて。
今年の通常国会は1月21日から開会する。当面は、今年度予算の第2時補正に続いて、来年度予算が審議されるはずである。
小泉首相は開会直前まで東南アジアを訪問するなど多忙である。国会召集の詔書というものが開会前に毎回出るのだが、総理署名のところが、珍しく臨時代理福田康夫官房長官になっている。
開会に先立って、国会議員元秘書が関係する不祥事が問題になっている。国会議員の不逮捕特権を検察庁が恐れているわけではないだろうが、去年の通常国会前のKSD事件、臨時国会前の郵政関係選挙違反事件と、国会議員が関係する不祥事が国会開会前に問題になる。すると、不祥事追求のため国会の予定が変わってしまう。
特に野党は「疑惑追及国会だ」ということで代表質問や予算委員会やクエスチョンタイムのかなりの時間を不祥事追及に使ってしまう。それで納得のいく結果が出ればいいのだが、結局は本来の予算審議をやる時間を無駄にしてしまうということが多いのではないか。
今国会は小泉内閣と連立与党との温度差が比較的目立つところが見どころとなるかもしれない。議院運営委員会では内閣提出法案が審議入りをストップされ、予算委員会では与党議員と閣僚との対決が見られるかもしれない。予算や重要法案の採決が行われる予定の3月か6月に、何らかの政局が起こる可能性があるわけである。
134.医療費と住宅についての弁明について。
1月10日と11日に書いた、消費税を上げて保険料を下げるという作者読者の政策提言に、熱心な読者の方から質問が来た。その中で、医療費負担分の重い人や、住宅を購入してローンを払い続けなければならない人はどうするのか、という質問に対処する。
医療費負担分が多い人は高年齢者とは限らない。その割には現在の保険制度は高年齢者以外には優しくない。さらに、医療費がかからないことをいいことに、体の具合が悪い日以外は毎日病院に通っている高年齢者がいるという。私としては、高年齢者には医療にかかるのを控えてもらうか、医療費をもっと払ってほしいのである。
住宅に関しては私の中でも矛盾がある。地域サービスのより良いところにいつでも移住できるように、借家に住むすべきだという考えと、親が住んでいた家に引き続き住んで、都合の悪いところはリフォームするべきだという考えとである。しかし、人生の大部分を縛るような無理をして家を買うのは得策ではないとは思う。
消費税が上がることによって、一般人は家や車や貴金属のような高級品はレンタルで済まさざるを得なくなるかもしれない。夢を奪うような政策で、やはり無理があるかなあとも思う。もっとも、医療費やこれらの高級品などの価格は高すぎるような気がする。市場原理がもっと働けば、かなり安くなって手が届くのではあるまいか。
135.明治天皇の出自についての一説について。
今回も読者のかたからのメールに対処する。昨年12月17日の「この人々は反逆者かどうかについて。」で、伊藤博文の「悪行」に触れたところ、「伊藤博文らによって孝明天皇・睦仁親王(後の明治天皇)は暗殺されて、替え玉が『明治天皇』になった」という説を教えてくれたメールが届いた。それによると、替え玉とは伊藤の腹心の長州藩士であり、従って明治政府で長州出身者が厚遇されたり、長州出身の乃木希典大将が殉死した理由がわかるという。
私は文春新書の『昭和史の論点』で、秦郁彦氏が「明治初年、まだ幼い天皇が、いうことをきかないと、西郷隆盛が『元のご身分に戻しますぞ』といって脅かした(p.31)」と述べたのを読んだことがある。私も、「大日本帝国憲法で絶対的権力を持ったはずの明治天皇が明治政治史にほとんど出てこない」ことを感じていた。
しかし、明治天皇が誰であろうとも、元老や軍人や官僚は彼を軽視したであろう。天皇が本当に現人神で、妖術を使って大軍を倒すというのでなければ、一人の人間は組織にはかなわないのである。
ただ、一般人のほとんどが、「現人神である天皇の臣下である政府に服従せよ」という論理をもって教化された。宗教を強硬に布教させようとする神官が、その宗教を信じていない、という不幸な状況が、当時の日本精神史のかなりを規定していたということか。
136.2002年通常国会開会直後の状況について。
現在開会されている第154回通常国会であるが、まだ首相による所信表明演説や代表質問が行われていない。これらは1月いっぱいは審議される今年度の第2次補正予算が終わってから行われる。
すでに来年度の本予算案並びに平成12年度の決算が各議員に届いているはずである。補正予算書・本予算書・決算書に関係書類を合わせると厚さ50センチはある代物である。まあ、「予算の説明」みたいな説明書が付属してあるから皆はそれを観るのだろうが。
今国会は衆議院の新委員長が面白い。鈴木宗男議院運営委員長、津島雄二予算委員長、池田行彦国家基本政策委員長は今国会で大活躍するだろう。鈴木氏はすでに活躍している。この3氏の人選は自民党が行うが、小泉首相はこの人事に満足しているのだろうか。
この3氏のポストは議会進行の鍵を握る。議院運営委員長は多数の法案からどれを審議にかけるかを選択する最終権限があるし、予算・国家基本政策各委員長はテレビに映る与野党激突の場をコントロールする権限がある。この3ポストの人々が政府・与党と結束していると、野党はかやの外だが議会はスムーズに動いて政府や関係業界にとってはありがたい。しかし、この3氏が与野党間でぶれたり政府と結束してなかったりすると、与党が何人いても議会は止まってしまい、またたくまに政情不安に陥ってしまうのである。
137.NGO拒否問題の別の視点を示すことについて。
田中角栄首相が男泣きしたのは、ロッキード事件追及が佳境を迎えたある記者会見の時だった。立花隆氏でさえ、彼の涙を見て彼の無実を一瞬信じたそうである。この話の出所は忘れたが、田中真紀子外相が涙を流したことを知ったとき、私はこの話を思い出した。
結局田中角栄首相は有罪となり、涙の価値が下落した。しかし、今でも田中首相の無実を信じる人々がいる。高度な政治的事件であるゆえか、真実がすべて明らかになったとはいえなかった。
アフガニスタン復興支援会議への一部非政府組織(NGO)参加拒否問題で、NGO側の大西健丞氏と田中外相のサイド、鈴木宗男代議士と外務省官僚のサイド、どちらかが真実をしゃべっていないことになった。しかし、世の中が決め付けているように、涙を流したほうのサイドが真実をしゃべっているとは私は考えない。私としては、大西氏が国会で責任のある発言を行ってほしいと思っている。
小泉首相が田中外相を更迭し、放心状態に似た言動を見せ、1月30日の参議院予算委員会ではテレビ中継の前で野党の質問を突っぱねるような印象の悪い答弁を行った。小泉首相の命綱である支持率の大幅下落は必至で、彼が首相になってからの悲願は実行できない公算が大きくなった。それでも首相は鈴木氏・外務省官僚サイドを擁護するのなら、それは厳粛に受け取る必要があるのではないか。