101.労働時間を短縮する法律について。
「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案」(閣法24号)は、2001年3月23日に衆議院委員会(厚生労働委員会6号)通過、3月27日本会議通過、3月29日に参議院委員会(厚生労働委員会5号)通過、3月30日に本会議を通過して法律となった(法律番号25)。
この法案の骨子は、2001年3月31日までの時限立法で、年間総実労働時間数を1800時間にするという「労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法」を5年間延長するというものである。この法律を基本とする政府労使の努力により、年間総実労働時間数は1999年で1848時間まで短縮された(1992年は1958時間)が、目標の1800時間を達成するために法律を5年間延長するが、なるべく早く目標を達成しようとするものである。
審議自体は衆参共に全会一致で可決された。しかし、中小企業は忙しくてなかなか労働時間が減らないこと、違法であるサービス残業が現在でも行われていること、有給休暇の取得が難しいこと、などの諸問題が質問された。
坂口厚生労働大臣や増田厚生労働副大臣が、諸問題に対する善処を行うという答弁を行った。私としては、委員会における答弁が世の中にどのくらい効力を持つのか調べたかったが、調べる努力をしなかったのが残念である。
102.2001年の国際コーヒー協定の批准について。
第151回国会で批准された条約の中に、「2001年の国際コーヒー協定の締結について承認を求める件」(閣条3号)というものがあったので、コーヒー好きな私はあえて注目してみた。
国際コーヒー協定は1962年に作成された時限協定であるが、順次延長され、2000年に開催された国際コーヒー理事会で再び延長することが決定され、その批准が今国会で行われた。国際コーヒー協定とは、コーヒーに関する国際協力の促進や国際貿易の拡大やコーヒーに関する情報研究の収集講評やコーヒー消費の促進等を目標としたものであり、コーヒーに関する国際的包括協定である。
本協定は、2001年6月6日衆議院外務委員会(会議録12号)、同7日本会議、同12日参議院外交防衛委員会(会議録15号)、同13日本会議といずれも通過して批准された。今国会の騒がしい外務委員会の合間を縫って緊急に批准したといったところだ。
会議録を観てもコーヒー協定に関する審議は一瞬にして終わり、再び田中外相に関する外交内政問題が蒸し返されている状況が見える。河野太郎先生は自分のメルマガの5月18日の条でコーヒー協定を比較的軽視している。今井澄先生はコーヒーについて詳しく、「私の事務所のコーヒーはおいしいと評判」としゃべっていた。私も議事堂にいるうちに今井先生のコーヒーを飲みたいものである。
103.9月14日の衆議院予算委員会について。
9月14日の金曜日に、通常国会閉会中ながら、衆議院で予算委員会が開かれる。「予算の執行状況の調査」という名目で開かれるだろうこの予算委員会は、閉会中審査では珍しく首相が出席し、野党は、失業率とか株価とか外務省不祥事とか郵政族選挙違反問題とかのあり余る社会問題に対する鬱憤を1日で晴らそうと目論む。
たった1日の予算委員会は、論戦を人々にお見せするというサービスのためにやるのであろう。もっとも、小泉首相や他の閣僚の答弁に、政治に拘束力を持つ重要なものが飛び出す可能性がある。
野党は、先の通常国会でもたくさん与党や政府の犯した問題の追及権をもちながら、いずれの追及も中途半端に終えた前歴がある。今回の予算委員会も「時間が足りないから次の問題に行きます」と言い訳をしつつ、前と同じ失敗をすることが充分考えられる。
また野党は、調子に乗って小泉首相を追及の標的にすることが考えられる。小泉首相が解散権を持つから存在意義のある現在の野党が、「抵抗勢力」の策略にのって首相を窮地に陥れることになる。
与党が議院運営委員会で譲歩して野党が要求する予算委員会開催認めたのも、予算委員会で野党は小泉首相及び小泉内閣を攻撃し、その結果自民党が政界で有利になるだろうといった思惑があるように思われる。今の与党は野党を操縦できる状態にあるようだ。
104.有事の際の国会議員の存在について。
国会議員の仕事とは、法案の審議と法律化である。これらの仕事は、公正を期するため時間がかかり、万全を期するため多数が集まって行う必要がある。つまり、国会議員は少人数ではほとんど仕事はできず、緊急有事に迅速に対応することもほとんどできない。
従って、今回のアメリカの同時多発テロに際し、国会議員は焦っている。緊急有事に対して自らが役に立たず、行政機関が次々と仕事をしていくのが、非常に自らの名誉を傷つけているのである。
国会議員の焦りは、まだ事件の全容やアメリカの具体的な対策がわからない早期から、国会議員所有のホームページやメールマガジンが事件についての断定的な評価が下されてあったり、臨時国会を早期に開いて憲法改正を含む有事立法を作ろう、いや阻止しよう、と騒ぎ立てたりしているところから、よく伝わってくる。
「先憂後楽」の精神を国会議員は持ってほしい、と私は思う。有事があるのを平時から予知し、有事に対する法律を先に作っておけば、有事のときは行政機関がその法律に従って有効に行動し、人々は国会議員のおかげで有事の危機から逃れることができる。
今回の有事の際、行政機関は国会議員の作った法律体系のもとで動いている。国会議員は今は悠然としていてもいいのではないか。
105.国会議事堂がテロに遭う危険性について。
アメリカ同時多発テロの影響で、日本にもテロリストが潜んでいるかも知れないという。テロリストの標的が国会議事堂かも知れず、国会議事堂に仕事を持つフリーターである私は心配している。
もっとも、イスラム系テロリストは、日本はアメリカに経済的支援を行う憎い国と思うはずだから、テロの標的は経済関係施設に向けられると思われる。彼らは日本の政治システムを知らないし、重要視しないだろうから、永田町や霞ヶ関はテロ範囲外だと思う。
ここ数日議事堂には表だった警備の強化はみられない。職員の方々も平常通り業務を続けている。多分、イスラム系テロリストは日本の経済は憎むが、日本の政治はあまり知るまい。空からならいざ知らず、地上から議事堂を襲うのはリスクに比べメリットが少ない。
日本の政治システムを崩壊させたいのなら、2.26事件の反乱軍並みの規模のテロ集団を必要とする。しかも、日本国民が確実にクーデター的テロに反抗するので、テロの成功確率はゼロに近い。
もっとも、日本の政治システムにダメージを与えて冥土の土産にしたいという狂信者が数人いると、今の日本の政治システムを強い個性で支えている小泉首相は相当な危険にさらされる。首相周辺はきっと秘密裡に厳密な警備を行っているに違いない。
106.臨時国会開会直前の情勢について。
9月27日から72日間の臨時国会が始まる。臨時国会開始直前の国会議事堂では、新副大臣や新政務官の人事発令や、何十年ぶりに開かれる裁判官弾劾裁判、会議録や法案などの印刷部数や印刷費などの各部局との折衝、などの事務的形式的な作業に忙しい。
霞ヶ関官僚は、特殊法人改革にゼロ回答、補正予算と関連法案を出してほっとしたと思ったら、アメリカ同時多発テロ関連法案を作らなければならない。全く官僚稼業とは、嫌われて報われないが責任重大で休息のない、日本を背負って立つプライドのみで成り立っているものである。官僚不祥事も官僚稼業のきつさが原因だと思う。官僚が務まる能力のある人を2倍に増やして、ワークシェアリングを行わないと、日本の行政は官僚の自滅によって破壊してしまう。
自民党は党の政務調査会がフルに動いている。アメリカ同時テロ関係の外交防衛政策と同時に、雇用や経済や狂牛病や新宿ビル火災や有明海ノリ被害まで、ありとあらゆる問題が、補正予算への計上を目指す各議員の思惑など複雑に絡んで、進められている。
民主党は党としてはあまり動かず、議員有志が勉強会を積極的に開いている。今国会では「有事では邪魔な野党」として完全無視される危険がある。何とか民主主義のために頑張ってほしいものだ。
107.国会の開会式のあれこれについて。
9月27日から12月にかけての72日間、第153回国会、臨時国会が開会される。国会議事堂に政治の中心が戻ってくる。
今国会は強大権力の命令を追認するだけの「大政翼賛会」になるかもしれない。「民主主義の危機」を日本の国会が救ってほしい。
さて、9月27日は開会式が行われる。国会議事堂の職員さんにとって、開会式は重要な行事である。天皇陛下が開会を宣言するセレモニーを大過なく行うために、最大限の配慮をする必要がある。
天皇陛下が国会にお入りになる30分ほどは、議事堂は封鎖、出入りの業者さんもシャットアウトである。衛視さんや警官がやたら議事堂内を徘徊し、こっちは廊下を歩くこともためらわれる。
開会式には各国大使館から代表者がお祝いに訪れる。100数カ国の方々が民族衣装で議事堂に来られるので華やかである。議事堂の職員さんが彼らの受付にあたる。今国会はアメリカ同時テロ直後であり、職員さんにも警備を強化するようにお達しがあったとか。
私は許しを得て1回だけ開会式を観に議場に入った。いかにも儀式らしく、高官が燕尾服を着て並んでいる中で、天皇陛下を直に観ることができた。我々がピリピリしているなか、報道は普通に天皇陛下にカメラを向けていた。どうせ開会式は大した記事にならない。